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企業、オフィスビルでの防災対策。防災備蓄には何が必要?
防災・知識
企業、オフィスビル、公共施設で、防災備蓄を導入しているというところが増えました。
以前は災害が起きたら社員を帰宅させるという考え方が一般的でしたが、東日本大震災の際に都市部を中心に帰宅困難者が大きな問題となり、企業での防災対策が大きく見直され、自治体が条例やガイドラインを作成するようになりました。
東日本大震災は平日の昼間に発生したため、東京都内のオフィスで勤務中だった人々が一斉に帰宅しようとしました。首都圏の1日の鉄道利用者数は約4000万人といわれていますが、この時は停電も発生したため多くの交通機関がストップしました。幹線道路には歩いて帰宅する大勢の人で行列ができ、30キロ以上を歩いて帰ったという人もいました。その一方で、帰宅ができない「帰宅困難者」も発生し、オフィスビルの中で数日泊まった人も大勢いました。
このことをきっかけに、内閣府は「帰宅しない、帰宅させない」というガイドラインを作成しました。今回はそれに沿って、企業で用意しておくべき備蓄品と防災グッズについて解説いたします。
この記事の目次
東日本大震災では、帰宅困難者が515万人
東日本大震災では停電の影響もあり、広い範囲で交通機関がストップしました。帰宅しようと駅に向かった人たちは鉄道がストップして復旧の見込みがないことを知ると、徒歩で帰宅するかオフィスにまた戻るかの二つの選択を迫られました。これが、いわゆる帰宅困難者と呼ばれる人たちです。
帰宅困難者の数は首都圏の1都4県で515万人、東京都内だけで、352万人にものぼりました。
大地震の揺れは、高層階であるほど、長く、大きくなる傾向があります。
「長周期地震動」という、揺れの周期が長い波長を含む地震が発生すると、震源地から数百キロ離れていても、建物全体がゆっくりと、長い時間、大きく揺れることがあります。
筆者の私は、東日本大震災発生時に震源地から700キロ離れた職場にいました。5階建ての免震構造のビルでしたが、船に乗っているような揺れが2分ほども続き、ロッカーや机が大きく横にずれました。
帰宅を選んだ人の群れが、車道にもはみ出ながらも何十キロにもわたって続いている光景は社会に衝撃を与えました。
「歩いて帰れるだろう」という誤解が危険
「周りの人はみんな歩いている、自分もそれについていけば帰れる」と思って歩いて帰ろうとすると、予想外の危険がひそんでいます。
満員電車並みの混雑が道路でも起きそれが数時間に渡ると、狭くなった場所で人が集中して動けなくなったり、転んだ人が折り重なって倒れたり、将棋倒しになったりという、「群集雪崩」と呼ばれる現象が起きます。これは最悪の場合多くの死者が出てしまいます。
過去にこのケースが起きたのは、平成13年に起きた兵庫県明石市の歩道橋の事故です。花火大会に見物客が詰めかけ、歩道橋周辺で身動きができなくなった人が折り重なって倒れ、死者とけが人が大勢でてしまいました。
この状況の恐ろしいところは、自分が身動きが取れないと気づいたときは、すでにその人の群れの中から抜け出せなくなってしまっているところです。
これに巻き込まれないためには、帰宅しないことを徹底することです。
参考「それでもあなたは帰りますか?」帰宅困難者「群集雪崩」の危険
https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/select-news/20191202_02.html
帰宅困難者対策ガイドラインとは
東京都ではこの東日本大震災の経験から、2013年4月に「東京都帰宅困難者対策条例」を制定し、災害時はむやみに移動を開始しないという基本原則を作り、企業には施設内で社員の安全を確保し、企業内で待機できるように3日分の備蓄を努力義務として定めました。
内閣府は2015年3月に発表した「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」の中で、備蓄についての基準を定め、病院や公共施設などの場合は従業員だけでなく利用者のものも準備するよう指導しています。
内閣府の帰宅困難者対策ガイドライン
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/kitaku_portal/index.html
企業・施設が用意しておきたい備蓄品リスト
備蓄品
「3日分の備蓄」が推奨されています
- 水 ペットボトル入り飲料水 1人当たり1日3リットル、計9リットル
- 主食 1人当たり1日3食、計9食
- 毛布または保温シート 1人1枚
- 簡易トイレ
- 衛生用品(トイレットペーパー、ウエットティッシュなど)
- 携帯用充電器、懐中電灯、携帯ラジオ
- 救急医療薬品
従業員への呼びかけ
- 普段から履きならした古い靴をオフィスに1足常備しておく
- 災害時には無理に帰宅せず施設内の安全な場所にとどまるよう呼びかける
連絡手段であるスマホを使えるように、携帯用充電器を
2018年9月に起きた北海道胆振東部地震では、停電が長く続きスマホの充電ができなくなり、情報や連絡が取れずに孤立してしまった人が続出しました。このことから、企業の備蓄として社員一人に一つ携帯用充電器(モバイルバッテリー)を準備することをおすすめします。これがあればオフィスで待機している際や帰宅時に、家族の安否確認や連絡手段が確保できます。
安否確認ができれば、無理な帰宅をしようと考えることもなくなるはずです。
携帯用充電器は手回しやソーラー式などだけではなく、乾電池式の充電器がオススメです。
手回し式(ダイナモ)での充電の場合、常にハンドルを回していないと充電できません。また、ソーラー式や蓄電式のものも安定して充電できないものがあるためです。
非常用の簡易トイレの準備は、一番大切!
防災備蓄では簡易トイレの準備が何よりも重要となります。
専門調査会が公表したシミュレーションでは、首都直下地震が発生した場合、東京23区ではトイレが大幅に不足し、発生から2時間後には約81万7,000人がトイレに行けない状況になり、特に、最も深刻な千代田区では、4.5時間待ちの長蛇の列ができると試算されています。
日本泌尿器科学会によると、一般的な成人の排尿回数は1日5~7回、3時間に1回の尿意がやってきます。1人1日最低でも5回分の非常用トイレの備蓄が必要となります。
また、高齢者はトイレに行く回数が多く、ストレスが重なり体調を崩してトイレを利用する人もいるので、余裕をもって1人1日10回を3日間分備蓄しておきたいです。
また、地震発災時には、ビルや建物の内部の配管に亀裂や破損が生じて、水を流すとフロアに汚水が漏れてしまうことがあるため、便はもちろん尿であってもトイレに流すのではなく備蓄の非常用トイレを使いましょう。
おしりにやさしい簡易トイレは、企業備蓄にピッタリ
おしりにやさしい簡易トイレは、段ボール製の組み立て式で、使用感は普段の便座式トイレと似ているため、非常用トイレにありがちな違和感が少なくストレスを感じにくいのが特徴です。
保管時はコンパクトになっているため大量保管が可能で、使用後は可燃ごみで廃棄できます。大人数が使用する企業や施設にピッタリです。
大量購入のご相談も承っていますので、ぜひご検討ください。
まとめ
- 外出先、勤務先で災害にあった場合は無理に帰宅しないで安全な場所にとどまる
- 群集雪崩というものを知っておく
- 企業や施設では一人3日分の備蓄品を準備しておく
- 企業や施設の防災備蓄品で最も重要なものは簡易トイレ
- 携帯用充電器、履きならした靴なども必要
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